つかみ所のない作家です。実はこの作家は、『作家』と言われることを嫌っています。作家という言葉の響きから感じられる枠組の中に自分を押し込め自由を奪われたくないのです。
人はその職業や経歴からどんな人か ある程度想像できますが、この作家に限っては過去の経歴をさかのぼっても何も分りません。川崎勝裕はいつも過去を捨て、過ぎ去った時間に束縛されることはありません。自分自身からも自由でありたいと望んでいるものと思えます。
あくまで自由であろうとする精神は世間から作家と呼ばれることさえ拒絶すると同時にこの作家の制作を強引に押し進める原動力にもなっています。
進歩であろうが後退であろうが絶えず自分自身を自由に変化させて、世の中の表裏はもちろん、外界を観察して判断する自分自信の脳髄の細胞ひとつひとつに至るまでさらに観察し、その結果として多様な作品が報告書のように形成されるます。
但し、時には作成された作品は観察の結果の排泄物のように見えることもありますが・・・。 (文:くれ はるお)